中国の商用・就労ビザの申請手順&必要書類。更新方法も紹介
中国に15日以上滞在する際に必要となるビザ。中国ビザは種類も多いですし、事あるごとに制度が改定されていることもあって非常に複雑です。
中国に3年以上滞在し、更新も何度も経験している上海在住者の私が、自身の経験をもとに中国ビザの種類、申請方法&必要書類、そして工作許可証&居留許可証の更新の方法について一挙にご紹介します。
この記事の目次
1. ビザの種類
中国のビザの種類は、滞在が商業目的なのかそうでないのかがポイントです。商業目的であれば、中国国内で労働する場合はZビザ、中国を訪れてビジネスや貿易活動に従事する場合はMビザを取得する必要があります。
ちなみに非商業目的の場合のビザは以下の5種類です。
・Fビザ:交流、訪問、視察等
・Xビザ:学習、研修
・Lビザ:観光
・Sビザ:中国で就労、留学している親族を訪問。個人的事務の処理
・Qビザ:親族家族訪問、子女との同居。中国に永住する親族の訪問
-
Mシングルビザ(有効期間内に1回のみ入国可能)
1回の最大滞在日数:30日or90日
有効期限:3ヵ月 -
Mダブルビザ(有効期間内に2回のみ入国可能)
1回の最大滞在日数:30日or90日
有効期限:6ヵ月 -
Mマルチプルビザ(有効期間内に何回でも入国が可能)
1回の最大滞在日数:30日or90日
有効期限:6ヵ月or12ヵ月or24ヵ月
申請条件:2回以上の中国渡航歴があるand現地受入先が申請者の所属会社の関連会社である -
Z短期駐在シングルビザ(有効期間内に1回のみ入国可能)
1回の最大滞在日数:90日
有効期限:3ヵ月 -
Z長期駐在シングルビザ(有効期間内に1回のみ入国可能)
1回の最大滞在日数:365日
有効期限:3ヵ月
2. Mビザ申請・取得のための流れ
ではMビザを申請・取得するための流れと必要な書類について見ていきます。ちなみに、15日以下の出張の場合には、査証免除処置が適用されるのでビザを取得する必要はありません。
- ●パスポート原本及び写し(余白 2 ページ以上,有効期限 6 ケ月以上)
- ●6か月以内の証明写真(4.8×3.3cm/カラー/背景は白)1枚
- ●中華人民共和国査証申請表(中国ビザセンターにあります)
- ●中国国内の貿易相手発行の商務活動書類、経貿交易会招聘状など。
- ※招聘状の内容:
- 申請者個人に関する情報:姓名、性別、国籍、生年月日など。
- 申請者訪中に関する情報:訪中理由、入出国予定日、訪問地等。
- 招聘機関或いは招聘者に関する情報:招聘機関名称或いは招聘者姓名、電話番号、住所、招聘機関印、取締役代表或いは招聘人の署名。
- ※マルチプルビザを申請する際には上記以外にも以下の書類が必要です。
以前に取得したマルチプルビザ或いは出入境記録のコピー、又は被授権単位マルチプルビザ招聘状。
用意ができたら中国ビザセンター(東京・大阪・名古屋)を訪れて申請をします。申請料金は以下の通りです。
- シングル:8,000円
- ダブル:10,000円
- 6カ月マルチ:11,000円
- 12カ月マルチ:15,000円
※旅行代理店が申請代行をする場合、別途手数料が発生します。(2020.07.01現在)
急いでいる場合は、加急申請(+6,000円)、特急申請(+9,000円)をすることもできます。
3. Zビザをビザ申請・取得のための流れ
続いてZビザを申請・取得するための流れと必要な書類について見ていきます。
まず現地で就業する会社を通じて就労許可書類を手に入れる必要があります。就労許可書類には以下の7種類がありますが、外国人工作許可通知であれば原本をわざわざ送ってもらう必要がないので便利です。
- 外国人工作許可通知(コピー)
- 外国人就業許可証書(原本)
- 外国専家来華工作許可証(原本)
- 外国地区常駐機構登記証(原本)
- ビジネス公演許可書類(原本)及び短期就業証明(原本):短期ビジネス公演で訪中の申請者のみ適用
- 外国文化センター招聘職員確認書(原本)
- 外国人在中華人民共和国従事海上石油作業的邀請信(原本)
現地就業会社が就労許可書類を申請するにあたって、無犯罪証明書と最終学歴証明書が必要になるので、居住地の都道府県警本部と卒業校に行って入手しましょう。「HSK(漢語水平考試)証書」を持っている人は、そのコピーも用意します。
各種証明書を入手したら、本物であることの証明をするために外務省(窓口は東京・大阪のみ)を訪れて公印確認をもらいます。そして、公印確認をもらった文書をビザ申請センターに持って行き領事認証の申請をします。これら一連の手続きには1~2カ月ほどかかるので、時間には余裕を持って行動しましょう。
領事認証が終わったら、上記書類に加え、パスポートのコピーとカラーの証明写真(縦4,5cm×横3,5cm 1枚)を現地就業会社に送って就労許可書類を申請してもらいます。場合によってはコピーの送付でも可能なこともあるようです。
外国人工作許可通知が発行されたら、パスポートと証明写真を持ってビザセンターを訪れ、査証申請表を記入して申請すればOKです。
晴れてビザが発行されたら3カ月以内に中国に入国し、入国後30日以内に居留する地域の県級以上の人民政府公安機関出入境管理機関で居留申請をする必要があります。申請が下りれば居留許可証が手に入るので、これで問題なく滞在できます。
4. Zビザ取得のためにはポイントを満たしていなくてはならない
Zビザ取得の流れを見てきましたが、実は2017年4月から制度が改定されて、ポイント制が導入されるようになりました。
85点以上であればAランク(ハイレベル人材)で制限なし、60点以上であればBランク(専門人材)で市場の需要を考慮して制限を受け、それ以下のCランク(一般人員)であれば排除されます。優秀な人材は受け入れる一方で、国内の雇用機会を奪うだけの外国人に対しては制限を加えるというのが趣旨ですね。審査基準が明確で、自分に就労ビザが下りるのか下りないのかおおよその目途がつきます。審査基準は以下の通りです。
- 勤務予定の中国法人から支払われる年収
45万元以上:20点
35万元以上45万元未満:17点
25万元以上35万元未満:14点
15万元以上25万元未満:11点
7万元以上15万元未満:8点
5万元以上7万元未満:5点
5万元未満ː 0点 - 教育水準または取得している職業技能資格証書など
博士:20点
修士:15点
学士:10点 - 業務経験年数
2年を上まれば、1年上回るに1点加算:上限20点
2年:5点
2年未:0点 - 1 年当たり勤務期間(月)
9カ月以上:15点
6カ月以上9カ月未満:10点
3カ月以上6カ月未満:5点
3カ月未満:0点 - 中国語レベル
中国籍があった外国人:5点
中国語教育による学士以上の学位を取得している:5点
漢語水平考試(HSK)5級以上:5点
漢語水平考試(HSK)4級以上:4点
漢語水平考試(HSK)3級以上:3点
漢語水平考試(HSK)2級以上:2点
漢語水平考試(HSK)1級以上:1点 - 年齢
18〜25歳:10点
26〜45歳:15点
46〜55歳:10点
56〜60歳:5点
60歳以上:0点 - その他
国外のハイレベルな大学を卒業している:5点
フォーチュン・グローバル 500企業における任職経験がある:5点
特許等の知的財産権を所有する:5点
中国における連続勤務年数が既に5年以上に達している:5点
ご覧のように、60歳以上の方、大学を卒業していない方、HSKを所有していない方というのは特に制限を受けやすい構造になっているのが見て取れるかと思います。特にHSKは勉強して合格しさえすれば、比較的容易にポイント増加に繋がります。
5. 工作許可証&居留許可証の更新
Zビザの有効期限が切れそうになったら、工作許可証&居留許可証を更新する必要があります。下記書類を人力資源和社会保障部に提出します。
- 外国人来華工作許可延期申請表
- 岗位说明(職位説明)
- 劳动合同(労働契約書)
- 境外人员临时住宿登记单
- 就業証
工作許可証の更新が済んだら、工作許可証とパスポートを持って公安局出入境管理局を訪れて、居留許可証更新の申請をします。居留許可証を更新する場合は、許可期限の30日前までに更新手続をすることになっています。
手続に最大15労働日(実質3週間)が必要とされていて、手続中パスポートは、公安局預かりとなるため、その間、航空機や鉄道での移動や移動先でのホテル宿泊が困難となりますので注意が必要です。
手続きが終わったら、直接公安局に取りに行くか、職場や自宅に送ってもらうこともできるので便利です。更新費用は800元です。
まとめ
- 商業目的であればMビザ or Zビザ
- Mビザは貿易相手発行の招聘状が必要
- Zビザは現地就業会社から就労許可書類を入手
- Zビザ取得にはポイントを満たす必要あり
- ビザの有効期限が切れる前に工作許可証&居留許可証を更新
中国ビザは、時間の経過とともに制度が変わって手続きが変化したり、地域によっても差異が生じることがあります。更新についても適切に行わなければ、場合によっては不法滞在となって罰金の支払い、国外退去の上で再度申請ということになってしまうので注意が必要です。
不明な点があれば、中国ビザセンターや在日中国大使館、専門の代理店などに問合せて、自身の状況に合った最新の情報を得るようにしてください。
*特に今後、新型コロナウィルスの影響で様々な変更がある可能性がございます。
寄稿文:Yoo!様